【クリエイターインタビューvol.52】『TAIWANBAG』GOB

【クリエイターインタビューvol.32】「バカンス」平尾英祐

【クリエイターインタビューvol.32】

10月3日(木)より平尾 英祐さんによる個展「バカンス」がはじまりました。
味わい深いあたたかな木版画が並びます。風に揺れると紙が揺れ、より作品の空気を伝えてくれています。今回のインタビューでは作品や今回の展示に対する思いをお伺いしました。
展示とともにインタビューもお楽しみにください。




自己紹介の普段の活動を教えてください。
普段は京都市内にある雑貨店に勤めていて、休日や通勤前、帰宅後に制作をしています。そして年に数回、ギャラリーをお借りして新作と過去作を混ぜた展示を行っています。

木版画をはじめるきっかけを教えてください。
出会ったのは多くの方と同じく小学生の頃で、続けるきっかけは大学の版画専攻に進学したことです。他のどの版種よりも思い通りにいかず、そして僕の知らない世界を見せてくれる木版画がとても興味深くて、続けたいと思いました。

木版画の魅力はどういったところに感じますか。
ばれんを使う摺りは、染色しているかのように紙の中に絵具を「擦り込む」感覚があります。そうして木版画を通して孕む紙の色がとても魅力的です。機会は少ないと思いますが、光に透かして見てみると面白いです。
あと、まっさらな版木の香りがとても心地よいです。


作品が完成にいたるまでのプロセスを教えてください。
まず「歌を描く」という大きな目標をもって、日常のほんの一瞬、心がうごいた瞬間の体験をメモに書き留めます。それをもとに線描で原稿をつくります。ここが一番苦しくて、僕自身が面白くなりそうだと思ったり、思わず笑ってしまったりしないと先に進めません。いつも「おもんない」と線を何度も描き直してしまいます。
それでもようやっと原稿ができたらあとは版と相談しながら、彫ったり摺ったりを繰り返し、僕の持つイメージと版のもつイメージを擦り合わせて、いい塩梅でやめます。完成のときは、ふふっと笑っています。この逆で、後から言葉を探す場合もあります。
自分でもつくづく不器用だなあと思いながらも、セオリーがなくて楽しいです。

作品を作られるうえでモチーフ選びや色づかいなど意識されることはありますか?
モチーフのもつ言葉(意味とは少し違うニュアンスで、何となく漂っているモチーフのイメージ)が、僕の表したいことに合っているか、説明的になっていないかをじっくり見極めます。

今回の展示「バカンス」のテーマやコンセプトを教えてください。
あまり深いことは考えていません。ただみなさんが持つ毎日の余白の時間を見つめてほしいという願いだけです。

今後の予定や目標を教えてください。
目標は絵本作家です。これからも日常の断片を描き続け、それらを綴じ、詩集のような一枚のアルバムのような絵本をつくりたいです。そのためにも作品のもつ言葉、文字のもつ言葉の使い方を磨いてゆきたいと思います。

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平尾英祐
「バカンス」
10月3日(木)~10月8日(火)
10:00~19:00/レトロ印刷JAM