【クリエイターインタビューvol.52】『TAIWANBAG』GOB

【クリエイターインタビューvol.47】『サボる、たれ目』「働く、たれ目」製作委員会

【クリエイターインタビューvol.47】

7月30日から8月4日まで開催しておりました「働く、たれ目」製作委員会『サボる、たれ目』展
東京の各所で撮影された5人のたれ目の人物たち。
その目尻とつぶやきからさまざまな心模様が読み取れます。

「働く、たれ目」製作委員会のタレメーノ・カクさんとナカノさんにお話を伺いました。
ぜひ「たれ目」の世界をご堪能ください!



自己紹介と普段の活動を教えてください。
(タレメーノ・カク 以下タレメーノ)「サボる、たれ目」企画,ディレクション,被写体のタレメーノ・カクと申します。たれ目に生まれたれ目に育った私は、その目尻に向けられた様々な誤解や偏見と戦う活動、その名もたれ目2.0プロジェクト【TAREMEENO】という活動を展開しています。
「眠たそう」「ニヤニヤしてる」「悔しくないのか」といった、真実とはかけ離れた誤解や偏見を黙って見過ごすのはもうやめようという大義のもとに、具体的には、たれ目のポートレート作品の制作、たれ目にちなんだ動画制作、たれ目を主題とした文筆活動、たれ目の選手だけで構成される草サッカークラブの運営等をしております。



今回の展示のタイトルの由来やコンセプトをお教え願います。
(タレメーノ)「サボる、たれ目」というタイトルは、「働く、たれ目」というタイトルのマジメな写真集を作りたいというのがまずあって、その一方でB面的にファニーなたれ目をその写真集に箸休めで挿していきたいという着想から生まれました。
「サボる」という行動は「働く」ということが必ずなければ生まれない、この表裏一体。
「働く」とは表なのか? 「サボる」は裏なのか? どちらが表で裏なのか。どちらがA面でB面なのか。「やる気なさそう」「帰りたそう」「責任感なさそう」。まさに、誤解や偏見と戦えるのではないかと思うに至り、サボるたれ目の真実を炙り出せればと、こうなりました。

今回の制作で意識されたことはありますか?
(タレメーノ)5人がそれぞれ、「仕事に関わる人たちのことを忘れてはいない」ということを意識して挑みました。
(ナカノ)「表情」が大きなテーマなので、喜怒哀楽様々な表情を残すことを意識しました。また、シュールさがありつつも各人物の息遣いが感じられる絵作りを意識しました。



撮影やスタイリング、シナリオづくりは自分たちでされているのですか?
(タレメーノ)すべて私タレメーノ・カクと撮影のナカノの2人でつくっています。

いつごろから、どのようなきっかけでたれ目に関する活動を始められたのでしょうか?
(タレメーノ)2019年の3月頃からたれ目に関する【TAREMEENO】を始めました。
私は幼い頃よりたれ目でした。いろんな人に様々なことを言われてきましたが、なかでも母親にひどくイジられてきました。そんな母親に対する憎悪の念を(たれ目のことだけではもちろんないですが)幼少の頃より抱え三十路を超えても手放せずどうしたものかと苦悩の中、私自身が結婚を意識するようになりこのままの親子関係ではよくないと思うにいたり母に関係改善を求め歩み寄るも没交渉。「はぁ? あんたみたいなニヤニヤした男が結婚?」という母の言葉によって全身に雷が落ちた。そんなところです。



活動を始められて、うれしかったことや変化したことなどはございますか?
(タレメーノ)昨年末にはじめて「サボる、たれ目」の写真展を開催した際にたれ目の同志の方々と出会えたこと、それが心底嬉しかったです。
非たれ目の方々は「なんのこっちゃ抹茶に紅茶」といった感じの表情で感想でしたが、たれ目の皆さんは共感してくださり、各々たれ目に関するエピソードを披露してくれたのです。
外国人のたれ目の方々も楽しんでくれていました。
その中でもチリ人の女性が「私も、『あなたはいつもにこやかでハッピーでいいわね』って友達に言われるけど、私だっていつもハッピーじゃない。ただ、たれ目なだけ」と涙をその目尻に溜めて話してくれました。
私は「俺は誤解や偏見と戦う」という黒い旗を掲げていたのですが、その女性との出会いによって、これからは心の中に「たれ目のみんなのために」という錦の御旗を掲げよう。と、そういった心境の変化がありました。



5人の写真にそれぞれ添えられた紹介文やキャプションがとても面白く、人物像がありありと浮かび上がってきます。
キャラクター設定はどんな時に着想されるのですか?また、実在する人物を元にされているのでしょうか?
(タレメーノ)キャラ設定は、いずれも私タレメーノ・カクが大好きで大嫌いな人たち(ほとんど過去形ですが)がモチーフになっています。
最近気になる「こういう人いるよね」からはじまり、「そういう人、以前学校(あるいは職場)にいたような気が」と走りだし、「てか、あいつじゃん」と着地し、最終的に実在する人物がベースになります。キャラのネーミングも一部本人から拝借しています。あ、いや、あの、拝借ではなく正確にいえばインスパイアされています。インスパイアです。



写真の出力に使われた紙が、人物によって異なるようにお見受けしました。
印刷屋として気になったのですが、人物イメージにあわせて変えていらっしゃるのでしょうか?
(ナカノ)人物像・季節・時間帯・街の雰囲気に合わせて5種類の紙を使い分けています。松ヶ迫大輝は若々しさや真夏の緑が際立つ発色が良いツルツルした紙を、木南正志は秋の夕方の谷中のイメージに合わせ、ザラザラした手触りのマットな紙を一部使っています。
森本崇文とニシコウスケは、春の清澄白河のゆるい雰囲気や寡黙なロックミュージシャンという人物像に合わせて光沢感が控えめな紙を、
職業不詳でミステリアスな河原亮は、角度や光の加減によって色や光沢感が変わる紙(実は2種類使ってます)を使っています。



世のたれ目のみなさまに、なにかメッセージをお願いいたします!
(タレメーノ)あなたは眠くない。あなたはニヤニヤしていない。あなたはいつも優しい人でなくていい。



今回の展示は写真集 「働く、たれ目」の発売に先駆けての開催と伺いました。
今後の予定や目標もぜひお聞かせください。
(タレメーノ)写真作品の新シリーズの撮影、写真集の発売、写真展の全国ツアー、そして世界ツアーを実現させてゆきます。
たれ目、非たれ目にかかわらず、すべての人類の目尻を下げてゆきます。愛と平和のために。








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「働く、たれ目」製作委員会『サボる、たれ目』


7月30日(木)~8月4日(火)
10:30~18:30/レトロ印刷JAM