【クリエイターインタビューvol.52】『TAIWANBAG』GOB

【クリエイターインタビューvol.21】「AD4696」MISSISSIPPIさん

【クリエイターインタビューvol.21】

5月2日(木)からギャラリーにてMISSISSIPPI展「AD4696」がはじまりました。
コミックの原画やドローイングの作品集「AD4696」を刊行されたMISSISSIPPIさん。それにあたった心境やコミック/zineとの出会いなど、興味深いお話をおうかがいしました。



自己紹介と普段の活動を願いします。
画家/コミック作家のMISSISSIPPI(ミシシッピ)です。ギャラリーで個展をしてキャンバス作品を展示したり、ブックフェア等に参加して自作のコミックのzineや絵本を売ったりしています。

面白いお名前ですが、由来をお聞かせください。
字面が好きなだけで、深い意味はないんです。学生時代、アメリカ文学科にいたのですが、その頃からずっと気になっていたワードでした。女性だと思ってました、とか誤解されることがたまにあるけど、日本人男性です。大阪出身です。




絵を描き始めたきっかけはありますか?
小学生のときにウルトラマンの怪獣の絵を描くのが好きで、友だちに「描いてほしい」って頼まれたことがあって、そのとき初めて「あ、俺これ得意なんだ!」って意識した気がします。褒められた記憶というのはデカい。

作品の発想はどういう時に浮かびますか?
〆切前に一所懸命考えているとき。でも、ある意味、いつ何をしていても、うっすらアイデアを探してるかんじがあります。



今回コミックの原画も展示されていますが、漫画/コミックとの出会いについて教えてください。
マンガは普通に読んではいたけど、それとは違った、オルタナ・コミックと呼ばれる世界がある、ということを知ったのは、京都にトランスポップギャラリーができてから。トランスポップの展示や、オーナーが編集した雑誌「スタジオボイス」のオルタナ・コミック特集号にものすごく刺激を受けましたし、ワクワクしました。もともとは、どちらかというと現代アートよりの活動をしていたけど、だんだんストリートアート、コミックアート方面にシフトしてきたかんじです。自分でマンガを初めて描いたのは、月刊エルマガジンの連載(2007〜8年頃。現在は休刊)ですね。

コミックというのはどう発想されますか? オチから?設定?ワンシーン?
ワンシーンかな。例えば、自分が住んでる街の空にUFOが浮かんでるシーン、とかから、全体のストーリーを考えます。


昔からzineをつくったりイベントに出展してらっしゃいますが、zineとの出会いについてお聞かせください。
これもトランスポップ絡みですが、そこで出会ったドイツの世代の近い作家たちと交流する中で、作り始めました。
自分の作品を紹介できて、売ってもいいし、あげてもいいし、コミュニケーションのツールになるもの、と考えて、zine にたどり着いた気がします。

感銘を受けたzineなどあればお教えください。
zineと呼ぶには、しっかりした造りですけど、ラトヴィアの「kus!」です。ショートコミックのアンソロジーだけど、すごく絵のイイ作品が多くて、2009年に初めてドイツの本屋で見つけたとき興奮した。ずっと本人たちからHPを通じて買ってたけど、いまでは東京のタコシェやポポタムでも取り扱ってます。本自体も素晴らしいけど、ラトヴィアにコミック文化を根付かせたいという明確な動機や、ちゃんと継続して作って販売も頑張ろうという姿勢に感銘を受けます。
※MISSISSIPPIさんは昨年発行の「kus!」にコミックを寄稿されています

海外でのお取り扱いや寄稿をお見掛けしますが、海外の読者も想定された時に考えていることはありますか?
特に海外向けということは意識しないけど、なるべく今の日本の街の風景を見せてあげようって思うかな。あと、読者とは関係ないけど、海外誌に描く漫画は英文でセリフを書くことになるので、吹き出しのカタチが横長になります。こういうことでも、コミックの雰囲気って変わるとおもう。



そもそも海外の出版関係とかかわるようになったきっかけはどういうものですか?
言うほど関わってはいませんが、初めは受け取り手として自分の興味のあるイベントに行ったり、本を買ったりしているうちに、自然に作り手側と知り合って、というパターンかな。

最近絵本も出版されていますが、そのいきさつをお願いします。
京都のメリーゴーランドの鈴木潤さんが声をかけてくれて個展をすることになったときに、絵本を作ってみようと考えたんです。メリーは絵本専門店だから。それまでは、自分が絵本を作る人になるとは、実はまったく思ってなかったけど、やってみたら楽しかった。そのときの自作絵本が編集者さんの目に留まって、結果、あかね書房から「パーちゃんのパーカ」が出ました。



今回の展示のコンセプトなどお聞かせください。
ここ数年の総集編というかんじです。さいきん海外のブックフェアに出店することが増えたので、言葉無しで楽しめるドローイング集を作ろうと考えて、ここ数年のベスト盤みたいな本を作りました。その本の展示バージョンです。「AD4696」というタイトルは、モノクロのドローイングを集めた本なので、モノクロ→白黒→シロクロ→4696、というかんじで。そのうちカラーのペインティングを集めた本も作るつもりです。
なんだろうな、ちょっとここらで現在地を再確認して、目的地を再設定したい時期なのかも。



今後のご予定や目標などを教えてください。
予定としては、5月にカナダのトロントで開催されるTCAF(トロント・コミック・アート・フェスティバル)というイベントに出店します。先述のポポタム、タコシェ、その他数人の作家といっしょに行きます。
目標は本を出すこと。コミックの単行本を一冊くらい出したいし、絵本ももっと作りたい。あとは街に壁画とか描きたいですね。




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「AD4696
5月2日(木)~5月7日(火)

10:00~19:00/レトロ印刷JAM