【クリエイターインタビューvol.52】『TAIWANBAG』GOB

【クリエイターインタビュー vol.4】「I'm home」黒ねこ意匠さん

【クリエイターインタビューvol.04】

10月14日からギャラリースペースでは黒ねこ意匠さんの展示「I'm home」がはじまりました。
今回の展示のために描かれたとという黒ねころびんちゃんの原画がずらりと並びます。

ろびんちゃんとレトロ印刷の深いつながりや「I'm home」に込められた思いなど、
お話をたくさんお伺いしました。

ここではおふたりのことを金さん銀さんと呼ばせていただきます!

(左)文章担当の金さん (右)イラスト担当の銀さん

ろびんちゃんが生まれたきっかけを教えてください。
銀さん:モデルは実際に飼っていた黒猫です。
金さん:すごい性格の悪い猫でした。その性格もイラストに出ています。
銀さん:なので、なるべく可愛い顔にはしないように気をつけて描いています。皮肉屋な感じにしたいんです。
金さん:人間だったら友達がいないタイプだよね、自分が一番っていう猫でした。

銀さん:もうひとつのきっかけはレトロ印刷さんで印刷したかった、というのがあります。
金さん:ろびんはレトロ印刷さんで印刷することありきで生まれました。
銀さん:レトロ印刷さんに印刷をお願いしたかったので、レトロ印刷さんで作れるものを作ることにしました。そこで、最初に作ったのは絵本だったんです。
金さん:そこからブックカバーやポストカードなどの紙雑貨もつくるようになりました。

なぜレトロ印刷で印刷しようと思ったんですか?
金さん:何かの本にレトロ印刷さんが取り上げられていたんです。大阪にちょっと変わった印刷ができる印刷屋さんがあるぞ、と。それで印刷見本を取り寄せたら、「これはやっぱりおもしろい」っと思ったんです。
銀さん:僕たちはレトロなものが好きだったし、なんで普通の印刷屋さんでは出せない部分に惹かれました。
金さん:あとはやっぱり紙も好きだったよね。他の印刷屋さんでは見ない不思議な紙もそろっていたのでおもしろかったんです。


いつからおふたりで活動されるようになったんですか。
銀さん:僕は仕事で商業イラストレーターをやっていて、名古屋でCMや企業キャラクター、ポスターのイラストを描いていました。
あとは、専門学校の非常勤講師もやっていて、その流れでイベントに学生が出展するって出した時に、学生の作品がほとんど売れていなかったんですよね。
だから試してみたかったんです。自分たちでイベントに出して、どんな商品をどうディスプレイしたら、どれだけの売上があるのか…って。ちょっと実験してみたかったのがきっかけでした。
はじめての結果はよかったですよ。ただちょっと什器にお金をかけすぎちゃって…。
金さん:持っていったぶんは全部売り切ったね。売り切ったけど什器ぶんちょっと赤字になりました(笑)

銀さん:2人で活動し始めたのはそういうイベントに出すようになったのがきっかけです。
それまでは、夫婦なのでずっと一緒にはいたけど、一人でさっき言ったようなお仕事をしていました。
金さん:それまで私は何もしてなかったです。文章もまったく書いたりしていませんでした。ずっと家で猫と遊んで、時々夫の仕事の事務作業をしていましたね。
そしたら、絵本を描くので文章をつくれ、と言われたんです。もともと本を読むのは好きだったんですけど、書いたことなんてなかったのに。
銀さん:やっぱり夫婦なので無理が言えるので…。それに、ぼくが文章を書くよりは確実にいいものができるっていう信頼はありました。

今回のタイトル「I'm home」に込められてた思いはなんですか?
金さん:それはもう単純に、レトロ印刷さんがきっかけてうまれたろびんがレトロ印刷さんに「ただいま!」っていう意味で「I'm home」です。
銀さん:普段は全部デジタルで書いてるんですけど、今回展示のお話があったので「じゃあ、原画を描こう」と思い描きはじめました。
一度デジタルで描いたものを、アナログに描きおこしています。レトロ印刷さんで印刷してもらったものを描きおこしたものも何点かあります。
基本的に僕は下絵だけ書いたらデジタルで描きあげてしまうんですけど、今回はデジタルで描いたやつを描きたいサイズに引き伸ばしてプリントアウトして、それをトレースダウンしてアナログで描いています。

レトロ印刷で印刷したポストカードと展示されている原画「おしゃれろびん」

改めて感じたデジタルとアナログの違いはなんですか?
銀さん:最初僕、原画を甘く見てたんです。けど、やっぱり存在感が違いますよね。そこにあるんだっていうのが印刷物とはまったく違います。最初展示やるんだったから、レトロ印刷さんで印刷したやつを飾ろうかな、って思ってたんです。でも、それもいいけど、それで本当にいいのかなって考えました。

今回の展示の特に見てほしいポイントは?
銀さん:やっぱり原画なので、人の手でかいているからこその筆ムラとか、ちょっとしたゆらぎみたいなものですかね。デジタルでは絶対出せないものなので。
あとはレトロ印刷さんで印刷したものから書いたものが多いんですけど、原画用に描いた絵もいくつかあるのでそれはぜひ見に来てほしいですね。

色味もレトロ印刷の色味を再現してくださっていますよね?
銀さん:それはやっぱり意識していますね。でも朱色は絵の具から出したままの色です(笑)
金さん:レトロ印刷さんで印刷したものを画材屋さんに持っていって一番近い色を探して、たまたまよく似た色がありました。
銀さん:青に関しては、ラムネと青の薄い感じを表現したくて調色していますね。ミントグリーンみたいな色を出したかったんです。

普段の作品でも色使いにはこだわりがあるんですか?
銀さん:そうですね。特にろびんに関してはなるべく色数を制限して描くっていうルールを自分たちで作っています。
レトロ印刷さんで印刷することが前提にあったので、どうしてもやっぱり色数は制限されます。
でもそこがおもしろかったりもしますよね、普通はそこ青では塗らないよね、トラ描くのでも別にピンクのトラでもいいし…そんな感覚で描けるのはおもしろいですね。
金さん:だいたい3色か、4色くらいで描いているよね。
銀さん:極力はそのくらいに抑えるようにしています。たまにテーマ的に難しいときはフルカラーでやったりもしますけど。



では、グッズ作られるときのこだわりはありますか?
銀さん:自分たちが欲しいものをつくることです。
ものをつくるのってはじめは自腹切ってつくるじゃないですか。正直、売れないことも考えないと行けないんですよね。
在庫抱えるのすごい怖いんですけど、どうせ残るなら自分が納得行くものを作りたいと思っています。
金さん:自分が欲しいものをつくるとか言ってるけど、私たち使ってないんですけどね(笑)
銀さん:女性のお客さんが多いので、やっぱり女性に使ってほしいんですよね。僕も自分で作ったもの持ちたい気持ちはあるんですけど、自分がろびんを持ってるのを想像すると「ないな…」って思っちゃう。
どんなに渋めのものをつくってもろびんっていうだけでかわいくなってしまって、だからできるだけこっち(金さん)に持ってほしいんですけど…。
金さん:でも私も一切持たないっていう(笑)私はキャラクターものを持たないんですよね。
銀さん:そこはふたりして「いかんね」って話してるんです。イベントに出てても僕らが作者って思われないです。
金さん:平気でミッフィーのTシャツとか着てるんで。「もう本人です」って書いておくしかない(笑)

今回の展示でもたくさんのグッズをご用意いただいています。

では今後の活動予定を教えてください。
金さん:11月10日・11日にデザフェスに、12月1日・2日にクリマに出展します。
あと、2月に新しく絵本が出るので、それの販売もかねた原画展が東京でもあります。2月8日~12日まで東京の京橋にあるメゾンドネコというギャラリーで、ろびんだけでなく、友達の猫や犬も描いた原画展です!


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黒ねこ意匠
「I’m home
10月14日(日)~31日(水)

10:00~19:00/レトロ印刷JAM
※最終日のみ17:00

とってもかわいいろびんちゃんがたくさん見られますよ。
原画ならではの紙や筆の繊細な質感をぜひ、真近で見に来てくださいね!

どなたでも楽しんでいただけるスタンプもご用意しております!
ろびんちゃんに会いに来た記念にスタンプを捺してくださいね~
※スタンプできるものはお店でご購入の紙や布等の商品に限らせていただきます。